問1 圧力に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)潜水業務において使用される圧力計には、ゲージ圧が表示される。
(2)水深20mで潜水時に受ける圧力は、大気圧と水圧の和であり、絶対圧力で約3気圧となる。
(3)1気圧は国際単位系(SI単位)で表すと、約101.3kPa又は約0.1013MPaとなる。
(4)気体では、温度が一定の場合、圧力Pと体積VについてP/V=(一定)の関係が成り立つ。
(5)静止している流体中の任意の一点では、あらゆる方向の圧力がつりあっている。
気体は圧力が加わると体積が減少する性質がありますので、P×V=一定になります。
例えば、陸上(1気圧)で10Lの空気は、水中10m(2気圧)では5Lに圧縮されます。
これを式に当てはめると、1気圧×10L=10、2気圧×5L=10になり、圧力×体積が一定であることが分かります。
答えは(4)
問2 体積50㎤で質量が400gのおもりを下の図のようにばね秤に糸でつるし、水に浸けたとき、ばね秤が示す数値に最も近いものは次のうちどれか。
(1)300g
(2)325g
(3)350g
(4)375g
(5)400g
水に浸けたときのおもりには、重りの体積(大きさ)に対して浮力が働きます。
浮力がどれだけ働いているかは、重りの体積を水の質量に置き換えただけ、浮力が発生している事になります。
水は1Lで1000g(1kg)になりますので、1L=1000㎤に換算すると1000㎤=1000gになります。
重りの体積が50㎤であれば、浮力は50g発生している事になり、元々のおもり400gに50gの浮力が発生し、400g‐50g=350gになります。
答えは(3)
問3 気体の性質に関し、正しいものは次のうちどれか。
(1)ヘリウムは、密度が極めて大きく、他の元素と化合しにくい気体で、呼吸抵抗は少ない。
(2)窒素は、無色・無臭で、常温・常圧では科学的に安定した不活性の気体であるが、高圧下では麻酔作用がある。
(3)二酸化炭素は、無色・無臭の気体で、空気中に約0.3%の割合で含まれている。
(4)酸素は、無色・無臭の気体で、生命維持に必要不可欠なものであり、空気中の酸素濃度が高いほど人体に良い。
(5)一酸化炭素は、物質の不完全燃焼などによって生じる無色の有害な気体であるが、異臭があるため発見は容易である。
ヘリウムは非常に質量が軽い気体であり、風船などに使われている気体になります。質量が軽いということは、密度が小さいということになりますので、ヘリウムは密度が極めて小さい気体になります。
二酸化炭素の空気中での濃度は、0.03~0.04%前後ある気体です。
空気中の酸素濃度が非常に高い場合には、酸素中毒になる恐れがあり人体に有害です。
一酸化炭素は不完全燃焼などで出来る場合があるため、異臭がすると考えている方も居ますが、無色・無臭の気体になります。
答えは(2)
問4 窒素の水への溶解に関する次の文中の 内に入れるA及びBの語句の組み合わせとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「温度が一定のとき、一定量の水に溶解する窒素の A は、その窒素の圧力に B 。」
窒素に限らず、水に圧力が加わると気体は多く溶け込みます。この多くとは質量(重さ)のことになります。
ただし、圧力が加わると気体は圧縮され体積(大きさ)が小さくなりますので、圧力が加わっても水に溶解する気体の体積は一定になります。
答えは(3)
問5 水中における光や音に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)水中では、音に対する両耳効果が減少し、音源の方向探知が困難になる。
(2)澄んだ水中で顔マスクを通して近距離にある物を見た場合、物体の位置は実際より近く見える。
(3)水分子による光の吸収の度合いは、光の波長によって異なり、波長の長い赤色は、波長の短い青色より吸収されやすい。
(4)水は、空気と比べて密度が大きいので、水中では音は長い距離を伝播することができない。
(5)濁った水中では、オレンジ色や黄色で蛍光性のものが視認しやすい。
水は空気と比べて密度が大きいため、音は長い距離を伝播し、遠くの音まで聞こえる事になります。
答えは(4)
問6 潜水の種類に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)大気圧潜水とは、耐圧殻に入って人体を水圧から守り、大気圧の状態で行う潜水のことである。
(2)環境圧潜水では、人体が潜水深度に応じた水圧を受ける。
(3)環境圧潜水は、送気式と自給気式に分類され、安全性を向上させるため、送気式潜水でも潜水者がボンベを携行することがある。
(4)送気式潜水には、定量送気式と応需要気式がある。
(5)自給気式潜水で一般的に使用されている潜水器は、閉鎖回路型スクーバ式潜水器である。
自給式潜水とはスクーバ式潜水のことであり、スクーバ式潜水には閉鎖型と開放型の両方があります。
閉鎖型とは吐いた息が水中に解放されず、再度潜水器内に戻るものになります。酸素濃度などを任意に調整できるメリットがありますが、器材が大きくなりコストも掛かるため、あまり一般的には使われておりません。
対して、開放型は吐いた息が水中に泡となって解放されます。潜水器の構造が簡単であり、小さくコストも低く抑えられるため、一般的には開放型が使われています。
答えは(5)
問7 潜水業務の危険性に関し、正しいものは次のうちどれか。
(1)潮流のある場所における水中作業で潜水作業者が潮流によって受ける抵抗は、ヘルメット式潜水が最も小さく、全面マスク式潜水、スクーバ式潜水の順に大きくなる。
(2)水中での溶接・溶断作業では、ガス爆発の危険はないが、感電する危険がある。
(3)視界の良いときより、海水が濁って視界が悪いときの方が、サメやシャチのような海の生物による危険性が低い。
(4)海中の生物による危険には、サンゴ、フジツボなどによる切り傷、タコ、ウツボなどによる刺し傷のほか、イモガイ類、ガンガゼなどによるかみ傷がある。
(5)潜水作業中、海上衝突を予防するため、潜水作業船に下の図に示す国際信号書A旗板を掲揚する。
潮流の影響は体積が大きい方が当然大きくなります。体積とは器材の大きさと考えることができます。潮流の影響の大きさは、ヘルメット式潜水>全面マスク式潜水>スクーバ式潜水になります。
水中であっても可燃性ガスと酸素があれば爆発を起こす事になります。溶接や溶断は可燃性ガスと酸素を使って行われるため、水中であっても爆発する危険性があります。
海水が濁っている場合の方が、サメやシャチによる危険性が高くなります。一部のサメには動物の発する小さな電磁場を感知できる器官を持っているため、真っ暗な海底や濁った海中でも餌を探すことができます。
タコやウツボはかみ傷に注意が必要で、イモガイやガンガゼには刺し傷に注意が必要です。イモガイは毒針を持った巻貝、ガンガゼは長い棘を持ったウニの仲間になります。
答えは(5)
問8 潜水転落又は吹き上げに関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)吹き上げは、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より高くなったときに起こる。
(2)潜水転落では、一たび浮力が減少して沈降が始まると、水圧が増して浮力が更に減少するという悪循環を繰り返す。
(3)ヘルメット式潜水では、潜水作業者が頭部を胴体より下にする姿勢をとり、逆立ちの状態になってしまったときに潜水転落を起こすことがある。
(4)ヘルメット式潜水では、潜水作業者に常に大量の空気が送気されており、排気弁の操作を誤ると吹き上げを起こすことがある。
(5)吹き上げ時の対応を誤ると、逆に潜水転落を起こすことがある。
ヘルメット式潜水は頭部に排気弁が付いており、逆立ちの状態になると上手く排気が出来ません。そのため、潜水服内の空気が多くなり、浮力が大きくなり吹き上げを起こします。
答えは(3)
問9 水中拘束又は溺れに関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)送気式潜水では、水中拘束を予防するために、障害物を通過するときは、周囲を回ったり、下をくぐり抜けたりせず、その上を超えていくようにする。
(2)スクーバ式潜水では、些細なトラブルからパニック状態に陥り、正常な判断ができなくなり、自らくわえている潜水器を外してしまって溺れることがある。
(3)送気式潜水では、溺れに対する予防法として、送気ホース切断事故を生じないよう、潜水作業船にクラッチ固定装置やスクリュー覆いを取り付ける。
(4)気管支や肺にまで水が入ってしまい窒息状態になって溺れる場合だけでなく、水が気管に入っただけで呼吸が止まって溺れる場合がある。
(5)ヘルメット式潜水では、溺れを予防するため、救命胴衣又はBCを必ず着用する。
救命胴衣又はBCを装着するのは、スクーバ式潜水になります。
答えは(5)
問10 特殊な環境下における潜水に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)流れの早い河川での潜水では、命綱を使用したり、装着するウエイト重量を増やす必要がある。
(2)山岳部のダムなど高所域の潜水では、通常の海洋での潜水よりも長い減圧浮上時間が必要となる。
(3)河口付近の水域は、一般に視界が悪いが、降雨により視界は向上するので、降雨後は潜水に適している。
(4)汚染のひどい水域では、スクーバ式潜水は不適当であり、露出部を極力少なくした装備で、送気式潜水器を用いて潜水することが望ましい。
(5)暗渠内潜水は、非常に危険であるので、潜水作業者は豊富な潜水経験、高度な潜水技術及び精神的な強さが必要とされる。
河口付近の水域は川の水が流れ込むため、降雨により視界が悪くなる傾向になります。
答えは(3)