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2014年(平成26年)1月~6月の潜水士試験の過去問の解説

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潜水業務

問1 圧力に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)気体の温度が一定の場合、圧力Pと体積VについてP×V=一定 の関係が成り立つ。
(2)水深20mで潜水時に受ける圧力は、大気圧と水圧の和であり、絶対圧力で約0.3Mpaとなる。
(3)1気圧は、SI単位では約1013hpa又は約0.1013Mpaとなる。
(4)密閉容器内に満たされた静止流体中の任意の点に加えた力は、その力の方向にだけ伝達される。
(5)気体は圧力が一定の場合、体積Vと絶対温度TについてV/T=一定 の関係が成り立つ。

流体中に力を加えると、全ての方向に等しく力が作用します。
答えは(4)


問2 下図のように、一端を閉じた質量100g。断面積20cm2の円筒の内部に少し空気が残るようにして逆さまにして水につけたところ、円筒中の水面が外部の水面より少し下がった状態で鉛直に静止した。この水面の差dは何㎝か。
ただし、円筒の厚さと円筒内の空気の質量は無視できるものとする。
円筒の浮力

(1) 5㎝
(2)10㎝
(3)15㎝
(4)20㎝
(5)25㎝

100gの円筒が浮くには100gの浮力が必要になります。
水100㎝2は100gなので、円筒の水面との差の部分の体積が100㎝2になる所で釣り合います。
円筒の体積は断面積×高さなので、100㎝2÷20㎝2=5㎝になります。
答えは(1)


問3 気体の性質に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)ヘリウムは、密度が極めて小さく、他の元素と化合しやすい気体で、呼吸抵抗は少ない。
(2)窒素は、化学的に安定した不活性の気体であり、高圧下でも麻酔性などの問題は生じない。
(3)二酸化炭素は、空気中に0.03%~0.04%程度の割合で含まれている無色、無臭の気体で、人の呼吸の維持に微量必要なものである。
(4)酸素は、無色、無臭の気体で、生命維持に必要不可欠なものであり、空気中の酸素濃度が高ければ高いほど人体にはよい。
(5)一酸化炭素は、物質の不完全燃焼などによって生じ、無色の有毒な気体であるが、異臭をもつため発見は容易である。

ヘリウムは他の元素と化合しにくく安定している。
窒素は高圧下で、窒素酔いと言う麻酔作用がある。
酸素濃度が高すぎると、酸素中毒と言う中毒症状になる。
一酸化炭素は、無色・無臭であるため、発見が困難
答えは(3)


問4 2atm(ゲージ圧力)の空気に接している20℃。1Lの水がある。これを1atm(絶対圧力)まで減圧し、水中の窒素が空気中に放出されるための十分な時間が経過したとき、窒素の放出量(1atm(絶対圧力)時の体積)に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、空気中に含まれる窒素の割合は80%とし、1atm(絶対圧力)の窒素100%の気体に接している20℃の水1Lには17cm3の窒素が溶解するものとする。
(1)14cm3
(2)17cm3
(3)27cm3
(4)34cm3
(5)41cm3

温度と窒素の割合が同じ時、水に溶け込む窒素の量は絶対圧に比例します。
この問題は、ひっかけ問題で、2atm(ゲージ圧力)になっている部分を3atm(絶対圧力)に換算して計算する必要があります。
窒素100%の場合で計算をします。
1atm(絶対圧力)で17㎝3溶け込むと言うことは、3atm(絶対圧力)では3倍の51㎝3溶け込んでいる事になります。
この差は、51-17=34㎝2になります。 この34㎝2は窒素100%の気体に接している場合なので、80%の時は34㎝2×0.8=27.2㎝2になります。
答えは(3)


問5 水中における光や音に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)水分子による光の吸収の度合いは、光の波長によって異なり、波長の長い赤色は、波長の短い青色より吸収されやすい。
(2)水中では、音に対する両耳効果が増すので、音源の方向探知が容易になる。
(3)光は、水と空気の境界では下図のように屈折し、顔マスクを通して水中の物体を見た場合、実際よりも大きく見える。
光の屈折

(4)澄んだ水中で顔マスクを通して近距離にある物を見た場合、物体の位置は実際より遠くに見える。
(5)水は、空気と比べ密度が大きいので、水中では音は長い距離を伝播することができない。

水中では音が空気中より早く進み、左右の耳に入る音の時間差が短くなるため、音源の方向は分からなくなる。
光の屈折は、より大きい角度に曲がるため、図の矢印が異なる。
顔マスクを通して水中で物体を見ると、物体は近く大きく見える。
水中では音が陸上より長い距離伝播する。
答えは(1)


問6 潜水の種類、方式に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)フーカー式潜水は、レギュレーターを介して送気する定量送気式の潜水である。
(2)ヘルメット式潜水器は、金属製のヘルメットとゴム製の潜水服により構成され、潜水器の構造が簡単であるが、その操作には熟練を要する。
(3)ヘルメット式潜水は、応需送気式の潜水で、一般に船上のコンプレッサーによって送気し、比較的長時間の水中作業が可能である。
(4)自給式潜水は、一般に閉鎖回路型スクーバ式潜水器を使用し、潜水作業者の行動を制限する送気ホース等が無いので作業の自由度が高い。
(5)全面マスク式潜水は、ヘルメット式潜水器を小型化した潜水器を使用し、空気消費量が少ない定量送気式の潜水である。

定量送気式とは常に一定の空気が出っぱなしになった潜水方式です。
応需送気式は潜水者が息を吸った時のみ空気が出る潜水方式です。
フーカー式と全面マスク式は応需送気式
ヘルメット式は定量送気式
スクーバ式潜水は吐いた息が水中に放出される開放型潜水器が一般的です。
答えは(2)


問7 潜水業務の危険性に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)潮流のある場所における水中作業で潜水作業者が潮流によって受ける抵抗は、スクーバ式潜水より全面マスク式潜水、全面マスク式潜水よりヘルメット式潜水の方が小さい。
(2)水中での溶接・溶断作業では、ガス爆発の危険はないが、感電する危険がある。
(3)視界の良いときより、海水が濁って視界が悪いときの方がサメやシャチのような海の生物による危険性の度合いが低い。
(4)海中の生物による危険には、サンゴ、ふじつぼ等による切り傷、みずたこ、うつぼ等によるかみ傷のほか、いもがい類、がんがぜ等による刺し傷がある。
(5)潜水作業中、海上衝突を予防するため、潜水作業船に下図に示す国際信号書A旗を掲揚する。
潜水フラッグ


潜水作業者が潮流によって受ける抵抗は、スクーバ式潜水より全面マスク式潜水、全面マスク式潜水よりヘルメット式潜水の方が大きい
水中でもガス爆発と感電の危険性がある。
海水が濁っている時の方がサメやシャチの危険性は高い。(人からは見えない為)
国際信号書A旗の色は青色です。
答えは(4)


問8 潜水墜落又は吹き上げに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜水墜落は、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より低くなったときに起こる。
(2)ヘルメット式潜水における潜水墜落の原因の一つに潜水作業者への過剰な送気がある。
(3)吹き上げは、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より高くなったときに起こる。
(4)吹き上げは、ヘルメット式潜水のほか、ドライスーツを使用する潜水においても起こる可能性がある。
(5)吹き上げ時の対応を誤ると潜水墜落を起こすことがある。

ヘルメット式潜水作業者への過剰な送気は、吹き上げの原因になります。
潜水服内に過剰に空気が入ってしまい、吹き上げを起こす危険が高くなる。
答えは(2)


問9 水中拘束又は溺れに関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)水中拘束によって水中滞在時間が延長した場合であっても、当初の減圧時間をきちんと守って浮上する。
(2)送気ホースを使用しないスクーバ式潜水では、ロープなどに絡まる水中拘束のおそれはない。
(3)送気式潜水では、水中拘束を予防するため、障害物を通過するときは、周囲を回ったり、下をくぐり抜けたりせずに、その上を越えていくようにする。
(4)水が気管に入っただけでは呼吸が止まることはないが、気管支や肺に入ってしまうと窒息状態になって溺れることがある。
(5)ヘルメット式潜水では、溺れを予防するため、救命胴衣またはBCを必ず着用する。

潜水時間を延長した場合は、減圧時間が長くなる為再計算が必要。
スクーバ式潜水でも送気ホース以外の物による水中拘束の危険がある。
水が鼻から入った場合は、反射的に呼吸が止まることがある。
救命胴衣又はBCを着用するのはスクーバ式潜水です。
答えは(3)


問10 特殊な環境下における潜水に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)暗渠内潜水は、長時間潜水することができるヘルメット式潜水により行われることが多い。
(2)冷水中では、ドライスーツよりウエットスーツの方が体熱の損失が少ない。
(3)河口付近の水域は、一般に視界が悪いが、降雨により視界が向上するので、降雨後は潜水に適している。
(4)汚染のひどい水域では。スクーバ式潜水やフーカー式潜水は不適当である。
(5)山岳部のダムなど高所域での潜水では、海面に比べて環境圧が低いので、通常の海洋での潜水よりも減圧浮上時間は短くできる。

暗渠内潜水は送気ホースがない、スクーバ式潜水が適している。
ドライスーツよりウエットスーツの方が熱損失が大きい
河口付近は降雨により視界が悪くなる。
汚染のひどい水域では、ウイルスの感染や有害物質を避けるためヘルメット式や面マスク式が好ましい。
高所域での潜水は大気圧が低くなる為、減圧浮上時間は長くなる。
答えは(4)


送気、潜降及び浮上

問11 平均毎分20Lの呼吸を行う潜水作業者が、水深10mにおいて、内容積12L、空気圧力19Mpa(ゲージ圧力)の空気ボンベを使用してスクーバ式潜水により潜水業務を行う場合の潜水可能時間に最も近いものは次のうちどれか。
ただし。空気ボンベの残圧が3Mpa(ゲージ圧力)になったら浮上するものとする。
(1)28分
(2)38分
(3)48分
(4)58分
(5)68分

まずはMpaをatm(気圧に変更)すると分かりやすいと思います。
19Mpaは約190気圧(atm)になりますので、190倍に圧縮されて入っている事になります。
最終的に3Mpa=30気圧(atm)残すため、使える空気の量は160倍になります。
つまり、12Lのタンクの160倍の量(1920L)を呼吸に使える事になります。
使用する水深は10mになるため2気圧(atm)になるため、毎分40Lの空気を消費することになります。
1920L÷40L=48分間になります。
答えは(3)


問12 送気式潜水に使用する設備・器具に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)送気ホースは、通常、ヘルメット式潜水では呼び径が13mm、全面マスク式潜水では呼び径8mmのものが使われている。
(2)送気ホースには、比重により沈用、半沈用、浮用の3種類のホースがあり、作業内容によって使い分けられる。
(3)流量計には、特定の送気圧力による流量が目盛られており、その圧力以外で送気する場合は換算が必要である。
(4)潜水前には、予備空気槽の圧力がその日の最高潜水深度の圧力の1.5倍以上となっていることを確認する。
(5)終業後、調節用空気槽は、内部に0.1Mpa(ゲージ圧力)程度の空気を残すようにしておく。

送気式潜水の調整用空気槽は始業後、ドレーンコックを緩め空気を抜いておく。
空気を残しておくのは、スクーバ式潜水のタンクになります。
答えは(5)


問13 スクーバ式潜水における潜降の方法等に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)船の舷から水面までの高さが1.5mを超えるときは、船の甲板等から足を先にして水中に飛び込まない。
(2)潜行の際は、口にくわえたレギュレーターのマウスピースに空気を吹き込み、セカンドステージの低圧室とマウスピース内の水を押し出してから、呼吸を開始する。
(3)潜降時、耳に圧迫感を感じたときは、2~3秒その水深に止まって耳抜きをする。
(4)マスクの中に水が入っていたときは、深く息を吸い込んでマスクの下端を顔に押し付け、鼻から強く息を吹き出してマスクの上端から水を排出する。
(5)潜水中の遊泳は、一般に両腕を伸ばして体側につけて行うが、視界のきかないときは腕を前方に伸ばして遊泳する。

マスクに水が入った時は、マスクの上端を押さえて、マスクの下から水を排出する。
答えは(4)


問14 ヘルメット式潜水における浮上の方法(緊急時措置を含む。)に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜水作業者は浮上の連絡をかわしたら、潜降索のところへ戻り、緊急浮上時以外の場合は、毎分10mを超えない速度で浮上し、減圧症予防のため必要な場合は所定の水深で所定時間浮上停止を行う。
(2)無停止減圧の範囲内の潜水の場合でも、水深6m又は3mで安全のための浮上停止(セーフティ・ストップ)を行うようにする。
(3)潜水作業者が浮力調整で浮上できず、潜行索をたぐって浮上するときは、連絡員が潜行索を引き上げ、浮上を補助する。
(4)緊急浮上を要する場合は、所定の浮上停止を省略し、又は所定の浮上停止時間を短縮し水面まで浮上する。
(5)緊急浮上後は、潜水作業者を出来るだけ速やかに再圧室に入れ、その業務における潜水業務用時間表による第1回の浮上停止の水深に相当する圧力まで加圧する。

緊急浮上後の再圧室で再加圧する場合は、最高深度まで加圧する。(1回目の浮上停止水深ではない)
答えは(5)


問15 ヘルメット式潜水器に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)ヘルメットの側面窓には、金属製格子等が取り付けられて窓ガラスを保護している。
(2)ドレーンコックは、潜水作業者が送気中の水分や油分をヘルメットの外へ排出するときに使用する。
(3)ヘルメットは、頭部本体とシコロで構成され、シコロのボルトを蝶ゴムのボルト孔に通し、上から押え金を当て蝶ねじで締め付けて潜水服に固定する。
(4)腰バルブは、潜水作業者自身が送気ホースからヘルメットに入る空気量の調整を行うときに使用する。
(5)排気弁は、これを操作して潜水服内の余剰空気を排出したり、潜水作業者の呼気を排出する。

ヘルメット式潜水のドレーンコックは、唾(ツバ)などを吐き出す物です。
答えは(2)


問16 全面マスク式潜水器及びフーカー式潜水器に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)フーカー式潜水器は、面マスクにデマンド式レギュレーターが取り付けられた一体構造となっている。
(2)全面マスク式潜水器には、頭部を覆う専用のフードと一体になったものやヘルメット型のものがある。
(3)全面マスク式潜水器のマスク内には、口と鼻を覆う口鼻マスクが取り付けられており、潜水作業者はこの口鼻マスクを介して吸気を受ける。
(4)全面マスク式潜水器では、水中電話機のマイクロホンは口鼻マスク部に取り付けられ、イヤホンは耳の後ろ付近にストラップを利用して固定される。
(5)全面マスク式潜水器及びフーカー式潜水器は送気式潜水器であるが、小型のボンベを携行して潜水することがある。

フーカー式潜水は、マスクとレギュレターの一体構造ではないものが多い。
答えは(1)


問17 潜水業務に使用する器具に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)救命胴衣は、引き金を引くと圧力調整器の第1段減圧部から高圧空気が出て、膨張するようになっている。
(2)ドライスーツは、防水性能を高めるため、首部・手首部が伸縮性に富んだゴム材で作られ、また。ブーツが一体となっている。
(3)スクーバ式潜水用ドライスーツには、ファーストステージレギュレーターから空気を入れることができる吸気弁及びドライスーツ内の余剰空気を逃がす排気弁が取り付けられている。
(4)足ヒレ(フィン)には、ブーツをはめ込むフルフィットタイプと、爪先だけを差し込み踵をストラップで固定するオープンヒルタイプとがある。
(5)ヘルメット式潜水で使用する鉛錘(ウエイト)の重さは、一組約30kgである。

救命胴衣を膨らます空気は、呼吸用とは別に備えられている。
答えは(1)


問18 高気圧作業安全衛生規則別表第2で示されている潜水業務用時間表に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜水業務用時間表は、水深10mを超える場所における潜水業務に適用される。
(2)潜水深度にかかわらず、1日の潜水回数の限度は定められていない。
(3)潜水時間とは、潜降を開始した時から浮上を開始する時までの時間をいう。
(4)潜水深度と潜水時間に応じ、ガス圧減少時間として業務間と業務終了後に与えなければならない時間が示されており、この時間が経過すると体内ガス圧係数は1になる。
(5)各回の潜水時間の合計は、その日の最大潜水深度における1日についての潜水時間によって制限されている。

業務間と業務終了後のガス圧減少時間を経過しても、体内には過剰な窒素が残っており、体内ガス圧係数は1にはなっていない。
答えは(4)


問19 1日2回の潜水業務を1回目18m、2回目25mの深度で行うこととし、潜水時間55分で1回目を行った後、船上で30分安静にした場合、2回目の潜水時間の限度に最も近いものは次のうちどれか。
(本問及び次問については、別表A及びBを用いて算出すること。)
(1) 98分
(2)110分
(3)120分
(4)131分
(5)145分

別表の使い方は、「潜降及び浮上に関する基礎知識」のページを確認できます。
答えは(5)
※2015(H27)年4月1日から「高気圧作業安全衛生規則」が改正されました。改正に伴い、こちらの表を使用する問題は出題されなくなりました。

問20 前問の場合において、2回目の潜水時間を75分としたとき、浮上停止の位置と浮上を停止しなければならない最少時間は次のうちどれか。
(1)水深6mで21分、水深3mで22分
(2)水深6mで18分、水深3mで16分
(3)水深6mで26分、水深3mで22分
(4)水深6mで27分、水深3mで25分
(5)水深6mで29分、水深3mで41分

別表の使い方は、「潜降及び浮上に関する基礎知識」のページを確認できます。
答えは(5)
※2015(H27)年4月1日から「高気圧作業安全衛生規則」が改正されました。改正に伴い、こちらの表を使用する問題は出題されなくなりました。

高気圧障害

問1 肺及び肺換気機能に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)肺呼吸は肺内に吸い込んだ空気中の酸素を取り入れ、血液中の二酸化炭素を排出するガス交換である。
(2)ガス交換は、肺胞及び呼吸細気管支で行われるが、そこから口・鼻側ではガス交換は行われない。
(3)空気の通路のうちガス交換に関与しない空間を死腔というが、潜水呼吸器を装着すれば死腔の容積は増加する。
(4)潜行中は、呼吸ガスの密度が高くなり呼吸抵抗が増すので、呼吸運動によって気道内を移動出来る呼吸ガスの量は深度が増すに従って減少する。
(5)潜水作業者が毎分摂取する酸素の質量は、水圧に比例して増えるので、スクーバ式潜水の場合、水深が深いと空気ボンベの残圧は早く減少する

水深が深くなるとタンクの残圧が早く減少する理由は、空気が水圧により圧縮されるためであり、接種する酸素の質量が増えるためではありません。
答えは(5)


問2 ヒトの循環器系に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)心臓は左右の心室と心房、すなわち四つの部屋に分かれており、血液は左心室から体全体に送り出される。
(2)末梢組織から二酸化炭素や老廃物を受けとった血液は、毛細血管から静脈、大静脈を通って心臓の右心房に戻る。
(3)大動脈及び肺動脈を流れる血液は、酸素に富む動脈血である。
(4)心臓の左右の心房の間が卵円孔開存で通じていると、減圧症を引き起こすおそれがある。
(5)大動脈の根元から出た冠状動脈は、心臓の表面を取り巻き、心筋に酸素と栄養素を供給する。

肺動脈は、心臓から出て肺に入る動脈なので、酸素は少ない動脈です。
答えは(3)


問3 下図はヒトの神経系を表した模式図であるが、ヒトの神経系に関する次の文の   内に入れるAからDの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「・ヒトの神経系は、 A 神経系と B 神経系から成る。
 ・ A 神経系は、脳と脊髄から成る。
 ・ B 神経系は、 C 神経と D 神経から成る。
 ・ C 神経は、下図のアとイから成る。
 ・ D 神経は、下図のウとエから成る。
木片の浮力

   A  B  C  D
(1)中枢 運動 体性 感覚
(2)末梢 運動 自律 体性
(3)末梢 中枢 体性 感覚
(4)中枢 末梢 自律 体性
(5)中枢 末梢 体性 自律

神経は「中枢神経」と「末梢神経」とからなっています。
「中枢神経」はさらに「脳と脊髄」からなっています。
「末梢神経」はさらに(自律神経)と(体性神経)からなっています。
(自律神経)は内蔵などを調整するもので、さらに「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。
(体性神経)は皮膚などからの刺激を伝える「知覚神経」と筋肉の動きなどに作用する「運動神経」に分けられます。
答えは(4)


問4 人体に及ぼす水温の作用及び体温に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)体温は、代謝によって生ずる産熱と、人体と外部環境の温度差に基づく放熱のバランスによって保たれる。
(2)水中において、一般に水温が20℃以下では、保温のためのウエットスーツやドライスーツの着用が必要となる。
(3)水中で体温が奪われやすい理由は、水の熱伝導率が空気の約26倍であり、また水の容積比熱は空気と比べてはるかに大きいからである。
(4)低体温症に陥った者に対する処置としては、体温を回復させることが重要であり、暖かい風呂に入れることやアルコールの摂取も効果的な方法である。
(5)水中で体温が低下すると、震え、意識の混濁や喪失などを起こし、死に至ることもある。

低体温症の人にアルコールを摂取させる事は、血管を拡張させさらに体温を奪うのでダメ。
答えは(4)


問5 肺の圧外傷に関する次の文中の内に入れるAからCの語句の組み合わせとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「潜水器を使用した潜水における A 時の肺の圧外傷は、 B  C を引き起こすことがある。
  B は、胸膜腔に空気が侵入し胸部が広がっても肺が膨らまなくなる状態をいい、 C は、肺胞の毛細血管に侵入した空気が心臓を介して移動し、動脈系の末梢血管を閉塞する事により起こる。」
   A   B     C
(1)浮上 気胸    空気塞栓症
(2)潜降 気胸    空気塞栓症
(3)浮上 空気塞栓症 気胸
(4)潜降 空気塞栓症 気胸
(5)浮上 チョークス 空気塞栓症

肺の圧外傷は浮上時に起こります。
答えは(1)


問6 潜水による副鼻腔や耳の障害に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜降の途中で耳が痛くなるのは、外耳道と中耳腔との間に圧力差が生じるためである。
(2)耳管は、通常は開いているので、外耳道の圧力と中耳腔の圧力には差がない。
(3)耳の障害の症状には、耳の痛みや閉塞感、難聴、耳鳴り、めまいなどがある。
(4)副鼻腔の障害は、鼻の炎症などによって前頭洞、上顎洞などの副鼻腔と鼻腔を結ぶ管が塞がった状態で潜水したときに起こる。
(5)副鼻腔の障害の症状には、額の周りや目・鼻の根部などの痛み、鼻出血などがある。

耳管は通常は閉じているため、耳抜きで耳管を開いて圧力差を無くす必要がある。
答えは(2)


問7 潜水業務における二酸化炭素中毒又は酸素中毒に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)二酸化炭素中毒は、二酸化炭素が血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンと強く結合し、酸素の運搬ができなくなるために起こる。
(2)スクーバ式潜水では、開放回路型潜水器を用いるため、二酸化炭素中毒は生じないが、ヘルメット式潜水では、ヘルメット内に吐き出した呼気により二酸化炭素濃度が高くなって中毒を起こす。
(3)酸素中毒は、酸素分圧の高いガスの吸入によって生じる症状で、呼吸ガス中に二酸化炭素が多いときには起こりにくい。
(4)脳酸素中毒は、0.5気圧程度の酸素分圧の呼吸ガスを長時間呼吸したときに生じ、肺酸素中毒は、1.4~1.6気圧程度の酸素分圧の呼吸ガスを短時間呼吸したときに生じる。
(5)脳酸素中毒の症状には、吐き気、めまい、筋肉の震えなどがあり、とくに痙攣発作が潜水中に起こると多くの場合致命的になる。

赤血球中のヘモグロビンと強く結合して、酸素が運搬できなくなるのは一酸化炭素中毒
スクーバ式潜水でも、呼吸を意識して遅くしたときなどに二酸化炭素中道を起こす。
酸素中毒は酸素分圧が影響するため、二酸化炭素の量には関係しない。
脳酸素中毒は、1.4~1.6程度の酸素分圧を超えると、肺酸素中毒は、0.5程度の酸素分圧を長時間呼吸した場合に起こる。
答えは(5)


問8 窒素酔いに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)一般に、水深が30~40m以上になると、酒に酔ったような状態の窒素酔いの症状が現れる。
(2)窒素酔いは、窒素の麻酔作用が出現して生じる。
(3)窒素酔いにかかると、気分が愉快になり、総じて楽観的あるいは自信過剰になるが、その症状には個人差もある。
(4)飲酒、疲労、不安感等は、気が紛れるので窒素酔いを起こしにくくする。
(5)窒素酔いが誘因となって正しい判断ができず、重大な結果を招くことがある。

飲酒、疲労、不安感は窒素酔いを起こしやすくする要素です。
答えは(4)


問9 減圧症に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)減圧症の発症は、通常、浮上後24時間以内であるが、長時間の潜水や飽和潜水では24時間以上経過した後でも発症することがある。
(2)減圧症は、関節の痛みなどを呈する比較的軽症な減圧症と、脳・脊髄や肺が冒される比較的重症な減圧症とに大別される。
(3)減圧症は、規定の減圧表から大きく逸脱した減圧をした場合に発症するものであり、減圧表どおりの減圧をした場合に発症することはない。
(4)減圧症は、高齢者や最近外傷を受けた人の場合、また、脱水症状のときなどに罹患しやすい。
(5)作業量の多い重筋作業の潜水では減圧症に罹患しやすい。

減圧症は潜水深度と時間によって発症するため、減圧表を守る必要がある。ただし、その他の要素も影響するため、減圧表通りの潜水をしても、発症する可能性があり。
答えは(3)


問10 一次救命処置に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)気道を確保するためには、仰向けにした傷病者のそばにしゃがみ、後頭部を軽く上げ、顎を下方に押さえる。
(2)反応はないが普段どおりの呼吸をしている傷病者で、嘔吐や吐血などがみられる場合は、回復体位をとらせる。
(3)胸骨圧迫と人工呼吸を行う場合は、胸骨圧迫10回に人工呼吸1回を繰り返す。
(4)胸骨圧迫は、胸が少なくとも5㎝沈む強さで胸骨の下半分を圧迫し、1分間に少なくとも60回のテンポで行う。
(5)AED(自動体外式除細動器)を用いて救命処置を行う場合には、胸骨圧迫や人工呼吸は、一切行う必要がない。

起動の確保は、後頭部を下げ、顎(アゴ)を上げる。
胸骨圧迫30、人工呼吸2回のペースで行う。
胸骨圧迫のペースは、1分間に100回前後
AEDを使用する場合でも、胸骨圧迫や人工呼吸の必要がある場合がある。
答えは(2)


関係法令

問11 空気圧縮機により送気する場合の設備に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)送気を調節するための空気槽は、潜水作業者ごとに設けなければならない。
(2)予備空気槽内の空気の圧力は、常時、最高の潜水深度に相当する圧力以上でなければならない。
(3)送気を調節するための空気槽が、予備空気槽の内容積等の規準に適合するものであるときは、予備空気槽を設けなくてもよい。
(4)潜水作業者に、予備空気槽の内容積等の基準に適合する予備ボンベを携行させるときは、予備空気槽を設けなくてもよい。
(5)潜水作業者に圧力調整器を使用させるときは、送気圧を計るための圧力計を、それ以外のときは送気量を計るための流量計を設けなければならない。

予備空気槽の圧力は、常時、最高深度における圧力の1.5倍以上に保つ必要がある。
答えは(2)


問12 潜水業務に伴う業務に係る特別の教育に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。
(2)再圧室を操作する業務に就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。
(3)水深10m未満の場所における潜水業務に就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。
(4)特別の教育を行ったときは、その記録を3年間保存しなければならない。
(5)特別の教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、その科目についての教育を省略することができる。

送気の調整を行う作業者と再圧室の操作を行う作業者は、特別の教育を受けないと行けない。
その記録は3年間保管が必要。ただし、十分な知識と技能が認められる時には省略が可能。
水深10m未満の潜水に関しては、特別な教育では無く、潜水士免許が必要
答えは(3)


問13 次の文中の   の中にいれるA及びBの数字の組合せとして、法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「全面マスク式潜水において、空気圧縮機により潜水作業者に送気するときは、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下において毎分 A L以上の送気を行うことができる空気圧縮機を使用し、かつ、送気圧をその水深の圧力に B Mpaを加えた値以上としなければならない。」
   A    B
(1)70  0.7
(2)60  0.8
(3)60  0.6
(4)40  0.7
(5)40  0.8

全面マスク式潜水は応需送気式潜水なので、毎分40L以上の送気が必要です。
送気圧はその水深の圧力+0.7Mpaが必要です。
答えは(4)


問14 スクーバ式の潜水業務を行うとき、潜水前の点検が義務付けられている潜水器具の組み合わせとして、法令上、正しいものは次のうちどれか。
(1)さがり綱、水中時計
(2)水中時計、送気管
(3)信号索、圧力調整器
(4)送気管、潜水器
(5)潜水器、圧力調整器

スクーバ式潜水で潜水前に義務付けられている点検項目は、潜水器と圧力調整器の2つです。
答えは(5)


問15送気式の潜水業務における連絡員に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)事業者は、送気式の潜水業務を行うときは、潜水作業者2人以下ごとに1人の連絡員を配置しなければならない。
(2)連絡員は、潜水作業者と連絡をとり、その者の潜降及び浮上を適正に行わせる。
(3)連絡員は、潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ及びコックの異常の有無を点検し、操作する。
(4)連絡員は、送気設備の故障その他の事故により、潜水作業者に危険又は潜行障害の生ずるおそれがあるときは、速やかに潜水作業者に連絡する。
(5)連絡員は、ヘルメット式潜水器を用いる潜水業務にあっては、潜降直前に潜水作業者のヘルメットがかぶと台に結合されているかどうかを確認する。

送気の操作は、特別の教育を受けた送気員が行わないといけない。
答えは(3)


問16 潜水作業者の携行物に関する次の文中の   内に入れるA及びBの語句の組合せとして、法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「空気圧縮機により送気して行う潜水業務を行うときは、潜水作業者に、信号索、 A  B 及び鋭利な刃物を携行させなければならない。ただし、潜水作業者と連絡員とが通話装置により通話することができることとしたときは、潜水作業者に信号索、 A 及び B を携行させないことができる。」
    A     B
(1)コンパス  水深計
(2)コンパス  浮力調整具
(3)救命胴衣  浮力調整具
(4)水中時計  水深計
(5)水中時計  救命胴衣

コンパスの携行の義務はなく、救命胴衣はスクーバ式潜水の時です。
水中時計と水深計は通常必要ですが、通話装置がある時は平衡の義務はない。
答えは(4)


問17 潜水業務に常時従事する労働者に対して行う高気圧業務健康診断において、法令上、実施することが義務付けられていない項目は次のうちどれか。
(1)四肢の運動機能の検査
(2)鼓膜及び聴力の検査
(3)肺活量の測定
(4)血中尿素窒素に関する検査
(5)尿中の糖及び蛋白の有無の検査

尿素窒素に関する項目は無い。
答えは(4)


問18 再圧室に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)水深10m以上の場所における潜水業務を行うときは、再圧室を設置し、又は利用できるような措置を講じなければならない。
(2)再圧室の設置場所には、必要のある者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を見やすい箇所に表示しておかなければならない。
(3)再圧室を使用するときは、出入に必要な場合を除き、主室と副室との間の扉を閉じ、かつ、副室の内部の圧力を主室より低く保たなければならない。
(4)再圧室を使用したときは、そのつど、加圧及び減圧の状況を記録しておかなければならない。
(5)再圧室については、設置時及びその後1か月をこえない期間ごとに、電路の漏電の有無等所定の事項について点検しなければならない。

再圧室の主室と副室との間の扉を閉じ、かつ、副室の内部の圧力を等しく保つ必要がある。
答えは(3)


問19 潜水士免許に関する次のAからDまでの記述について、法令上、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 水深10m未満での潜水業務については、免許は必要でない。
B 満18歳に満たない者は、免許を受けることができない。
C 故意又は重大な過失により、潜水業務について重大な事故を発生させたときは、免許の取消し又は免許の効力の一時停止の処分を受けることがある。
D 免許証を紛失又は損傷したときは、免許証再交付申請書を労働基準監督署長に提出して免許証の再交付を受ける。
(1)A、B
(2)A、C
(3)A、D
(4)B、C
(5)B、D

水深10m未満の潜水も、潜水士免許が必要。
免許の再交付は都道府県労働局長が行います。
答えは(3)


問20 厚生労働大臣が定める構造規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない設備・器具の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1)空気清浄装置、潜水器
(2)空気清浄装置、再圧室
(3)再圧室、空気圧縮機
(4)潜水器、再圧室
(5)潜水器、空気圧縮機

譲渡し、貸与し、又は設置の制限がある物は、潜水器と再圧室の2つです。
答えは(4)