潜水士

2015年(平成27年)7月~12月の潜水士試験の過去問の解説

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潜水業務

問1 圧力に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)気体は温度が一定の場合、圧力Pと体積VについてP×V=(一定)の関係が成り立つ。
(2)水深20mでの潜水時に受ける圧力は、体気圧と水圧の和であり、絶対圧力で約0.3Mpaとなる。
(3)圧力は、単位面積当たりに作用する力である。
(4)密閉容器内に満たされた静止流体中の任意の点に加えた圧力は、その圧力の方向にだけ伝達される。
(5)気体は圧力が一定の場合、体積Vと絶対温度TについてV/T=一定の関係が成り立つ。

流体の一点に圧力を加えると、全ての方向に等しく伝達されます。
体積Vと絶対温度Tについて、絶対温度を簡単に言うと、これ以上は下がる事のない理論上の最低の温度を0℃にした温度の単位です。摂氏-273℃が絶対温度の0度になります。理論上は-273℃まで気体の温度を下げると体積は0になります。(シャルルの法則)
答えは(4)


問2 下図のように、一端を閉じた容量100g、断面積20c㎡の円筒を、内部に少し空気が残るようにして逆さまにして水に付けたところ、円筒中の水面が外部の水面より少し下がった状態で鉛直に静止した。この水面の差dは何㎝か。
ただし円筒の厚さと円筒内の空気の質量は無視できるものとする。
円筒の浮力

(1)5㎝
(2)10㎝
(3)15㎝
(4)20㎝
(5)25㎝

浮力は押しのけられた水の重さに等しくなります。
つまり、円筒の水面の違いの分だけ浮力が発生しています。
今回は発生している浮力は、容器の重さ100gなので、円筒の水面の差の体積が100c?になります。
円筒の体積は断面積×高さなので、100÷20=になります。
答えは(1)


問3 気体の性質に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)ヘリウムは、密度が極めて小さく、他の元素と化合しやすい気体で、呼吸抵抗は少ない。
(2)窒素は、化学的に安定した不活性の気体であり、高圧下でも麻酔性などの問題は生じない。
(3)二酸化炭素は、空気中に0.3%から0.4%程度の割合で含まれている無色、無臭の気体で、人の呼吸の維持に微量は必要なものである。
(4)酸素は、無色、無臭の気体で、生命維持に必要不可欠なものであり、空気中の酸素濃度が高ければ高いほど人体にはよい。
(5)一酸化炭素は、無色、無臭の気体で、呼吸によって体内に入ると、血液中のヘモグロビンが酸素を運びにくくなるので有毒である。

ヘリウムは他の元素と化合しにくい。
窒素は高圧下で麻酔作用がある。
二酸化炭素の空気中の濃度は0.02%前後です。
酸素濃度が高いと、酸素中毒の危険性がある。
答えは(5)


問4 問4 窒素の水への溶解に関する次の文中の    内に入れるA及びBの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「温度が一定のとき、一定量の水に溶解する窒素の A は、その窒素の分圧に B 
   A     B
(1)質量  かかわらず一定である
(2)体積  反比例する
(3)質量  反比例する
(4)体積  比例する
(5)質量  比例する

水に溶け込む窒素の質量は、窒素の分圧に比例します。
答えは(5)


問5 水中における光や音に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)水中では、音に対する両耳効果が減少し、音源の方向探知が困難になる。
(2)水は空気に比べ密度が大きいので、水中では空気中に比べて、音が遠くまで伝播する。
(3)水分子による光の吸収の度合いは、光の波長によって異なり、波長の長い赤色は、波長の短い青色より吸収されやすい。
(4)オレンジ色や黄色で蛍光性のものは、濁った水中で視認しにくい。
(5)澄んだ水中でマスクを通して近距離にある物を見る場合、実際より近く、また大きく見える。

オレンジ色や黄色で蛍光性のものは、視認しやすい。
答えは(4)


問6 ヘリウム・酸素混合ガス潜水に用いるヘリウムの特性に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)高い圧力下であっても窒素のような麻酔作用を起こすことがない。
(2)窒素に比べ、体内に溶け込む量が少なく、体内から排出される速度が大きい
(3)無色、無味、無臭の極めて軽い気体で、呼吸抵抗が少ない。
(4)熱伝導性が小さいため、呼吸による潜水作業者の体熱損失が少ない。
(5)気体密度が小さいので、音声の歪みが大きく、言葉の明瞭度が低下する。

ヘリウムは熱伝導率が大きいため、体熱の損失が大きい。(寒くなりやすい)
答えは(4)


問7 潜水業務の危険性に関し、次のうち正しいものはどれか
(1)潮流のある場所における水中作業で潜水作業者が潮流によって受ける抵抗は、スクーバ式潜水より全面マスク式潜水、全面マスク式潜水よりヘルメット式潜水の方が小さい。
(2)潮流の速い水域での潜水作業は、減圧症が発生する危険性が高い。
(3)視界が良いときより、海水が濁って視界が悪いときの方が、サメやしゃちのような海の生物による危険性の度合いが低い
(4)海中の生物による危険には、サンゴ、ふじつぼなどによる切り傷、みずたこ、うつぼなどによる刺し傷のほか、いもがい類、がんがぜなどによるかみ傷がある。
(5)潜水作業中、海上衝突を予防するため、潜水作業船に下図に示す様式の国際信号書A基板を掲示する。
光の屈折誤り


水の抵抗は器材が大きくなればその分大きくなります。スクーバ式潜水より全面マスク式潜水、全面マスク式潜水よりヘルメット式潜水の方が大きい。
視界が悪いときの方が、サメやしゃちの危険が高い。
みずたこ、うつぼはかみ傷。いもがい、がんがぜは刺し傷です。
旗の色は青色です。
答えは(2)


問8 潜水転落又は吹き上げに関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)吹き上げは、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より低くなったときに起こる。
(2)ヘルメット式潜水では、潜水作業者が頭部を胴体より下にする姿勢をとり、逆立ちの状態になってしまったときに潜水転落を起こすことがある。
(3)スクーバ式潜水は、送気式でないので、潜水服としてウエットスーツ又はドライスーツのいずれを使用する場合も、吹き上げになりにくい。
(4)流れの早い場所でのヘルメット式潜水においては、送気ホースや潜降索をたるませず、まっすぐに張るようにして潜水すると吹き上げになりにくい。
(5)潜水転落では、ひとたび浮力が減少して沈降が始まると、水圧が増して潜水装備内の気体容積が縮小し、浮力がさらに減少するという悪循環を繰り返す。

吹き上げは潜水服内部の圧力が、水圧より高くなったときに起こる。
ヘルメット式潜水で逆立ちの姿勢になると、吹き上げを起こすことがある。
スクーバ式潜水でも吹き上げは起こる。
流れが早い場所でも、送気ホースや潜降索は適度にたるみを持たせる。
答えは(5)


問9 水中拘束又は溺れに関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)水中拘束によって水中滞在時間が延長した場合であっても、当初の減圧時間をきちんと守って浮上する。
(2)送気ホースを使用しないスクーバ式潜水では、ロープなどに絡まる水中拘束のおそれはない。
(3)スクーバ式潜水では、些細なトラブルからパニック状態に陥り、正常な判断ができなくなり、くわえている潜水器を外してしまって溺れることがある。
(4)水が気管に入っただけでは呼吸が止まることはないが、気管支や肺に入ってしまうと窒息状態になって溺れることがある。
(5)ヘルメット式潜水では、溺れを予防するため、救命胴衣又はBCを必ず着用する。

水中時間が延長した場合は、延長した潜水時間から再度減圧時間を計算する必要がある。
スクーバ式潜水でも水中拘束のおそれはある。
水が気管に入っただけでも反射的に呼吸が止まることがある。
ヘルメット式潜水では、潜水服の空気の量で浮力をコントロールするため、救命胴衣やBCは着用しない。
答えは(3)


問10 特殊な環境下における潜水に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)暗渠内潜水は、非常に危険であるので、潜水作業者は豊富な潜水経験、高度な潜水技術及び精神的な強さが必要とされる。
(2)冷水中では、ウエットスーツよりドライスーツの方が体熱の損失が少ない。
(3)河川での潜水では、流れの速さに特に注意する必要があり、命綱(ライフライン)を使用したり、装着するウエイト重量を増やしたりする。
(4)寒冷地での潜水では、潜水呼吸器のデマンドバルブ部分が凍結することがあるの。
(5)山岳部のダムなど高所域での潜水では、海面に比べて環境圧が低いので、海洋での潜水よりも減圧浮上時間は短くできる。

高気圧の状態から低気圧の状態に変化するときは、出来るだけゆっくり変化した方が減圧症になりにくい。
その為、山岳部など気圧が低い場所での潜水は、減圧不要時間を長くする必要がある。
答えは(5)

送気、潜降及び浮上

問11 問11 全面マスク式潜水の送気系統を示した下図において、AからCまでの設備の名称の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
マスク式送気図

     A      B      C
(1)圧力調整装置  流量計    空気清浄装置
(2)圧力調整装置  流量計    予備ボンベ
(3)コンプレッサー 流量計    空気清浄装置
(4)コンプレッサー 調節用空気槽 空気清浄装置
(5)コンプレッサー 調節用空気槽 予備ボンベ

答えは(5)


問12 送気式潜水に使用する設備・器具に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)全面マスク式潜水では、通常、送気ホースは、呼び径が13mmのものが使われている。
(2)コンプレッサーの圧縮効率は、圧力の上昇に伴って高くなる。
(3)流量計には、特定の送気圧力による流量が目盛られており、その圧力以外で送気する場合には換算が必要である。
(4)フェルトを使用した空気清浄装置は、潜水作業者に送る圧縮空気に含まれる水分と油分のほか、二酸化炭素と一酸化炭素を除去する。
(5)終業後、調節用空気槽は、内部に0.1Mpa(ゲージ圧力)程度の空気を残すようにしておく。

全面マスク式は8mmの呼び径が使われます。(応需式は8mm、定量送気式は13mmが一般的です。)
コンプレッサーの効率は圧力が上昇すると低下する。
フェルトを使用した空気清浄装置では、二酸化炭素や一酸化炭素は除去出来ません。
調節用空気槽は、試用後ドレンから全ての空気を抜きます。(空気を残しておくのは、スクーバ式のタンクです。)
答えは(3)


問13 送気式潜水における潜降の方法に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜降を始めるときは、潜水はしごを使用して、頭部まで水中に没して潜水器の状態を確認する。
(2)潜行索により潜降するときは、潜降索を両足の間に挟み、片手で潜降索をつかむようにして徐々に潜降する。
(3)熟練者が潜降するときは、潜降索を用いず排気弁の調節のみで潜降して良いが、潜降速度は毎分10m程度で行うようにする。
(4)潮流がある場合には、潮流によって潜降索から引き離されないように、潮流の方向に背を向けるようにすると良い。
(5)潮流や波浪によって送気ホースに突発的な力が加わることがあるので、潜降中は、送気ホースを腕に1回転だけ巻きつけておき、突発的な力が直接潜水器に及ばないようにする。

熟練者でも必ず潜行索に掴まって潜降しなければなりません。
答えは(3)


問14 スクーバ式潜水における潜降の方法などに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)船の舷から水面までの高さが1.5mを越えるときは、船の甲板などから足を先にして水中に飛び込まない。
(2)潜降の際は、口にくわえたレギュレーターのマウスピースに空気を吹き込み、セカンドステージの低圧室とマウスピース内の水を押し出してから、呼吸を開始する。
(3)潜降時、耳に圧迫感を感じたときは、2~3秒その水深に止まって耳抜きをする。
(4)マスクの中に水が入ってきたときは、深く息を吸い込んでマスクの下端を顔に押し付け、鼻から強く息を吹き出してマスクの上端から水を排出する。
(5)潜行中の遊泳は、一般に両腕を伸ばして体側につけて行うが、視界にきかないときは腕を前方に伸ばして遊泳する。

マスクの水の出し方は、マスクの上端を押さえて鼻から息を吐き、マスクの下端から水を排出します。
答えは(4)


問15 スクーバ式潜水における浮上の方法に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)浮上開始の予定時刻になったとき又は残圧計の針が警戒領域に入ったときは、浮上を開始する。
(2)BCを装着したスクーバ式潜水で浮上する場合、インフレーターを肩より上に上げ、いつでも排気ボタンを押せる状態で周囲を確認しながら、浮上する。
(3)浮上速度の目安として、小さな気泡を追い越さないような速度で浮上する。
(4)無停止減圧の範囲内の潜水でも、安全のため、水深10mの位置で浮上停止を行う。
(5)バディブリージングは緊急避難の手段であり、多くの危険が伴うので、万一の場合に備えて日頃から訓練を行い、完全に技術を習得しておかなければならない。

無停止減圧の範囲内での潜水の場合は、水深3m前後で5分程度の停止が推奨されています。
答えは(4)


問16 潜水業務に試用する器具に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)BCは、これに備えられた液化炭酸ガスボンベから入れるガスにより10~20kgの浮力が得られる。
(2)ドライスーツは、防水性能を高めるため、首部・手首部が伸縮性に富んだゴム材で作られ、また、ブーツが一体となっている。
(3)スクーバ式潜水用ドライスーツには、レギュレーターのファーストステージから空気を入れることができる吸気弁及びドライスーツ内の余剰空気を逃がす排気弁が取り付けられている。
(4)足ヒレ(フィン)には、ブーツをはめ込むフルフィットタイプと、爪先だけを差し込み踵をストラップで固定するオープンヒルタイプとがある。
(5)ヘルメット式潜水で試用する鉛錘(ウエイト)の量さは、一組約30kgである。

BCへの給気は専用タンクでは無く、通常の呼吸用のタンクから行う。
答えは(1)


問17 全面マスク式潜水器に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)全面マスク式潜水器では、ヘルメット式潜水器に比べて多くの送気量が必要になる。
(2)全面マスク式潜水器には、潜水深度が深い場合に使われる、大型のバンドでマスクを顔面に押しつけて固定するバンドマスクタイプやヘルメットタイプがある。
(3)全面マスク式潜水器のマスク内には、口と鼻を覆う口鼻マスクが取り付けられており、潜水作業者はこの口鼻マスクを介して給気を受ける。
(4)全面マスク式潜水器では、水中電話機のマイクロホンは口鼻マスク部に取り付けられ、イヤホンは耳の後ろ付近にストラップを利用して固定される。
(5)全面マスク式潜水器は送気式潜水器であるが、小型のボンベを携行して潜水することがある。

全面マスク式よりヘルメット式の方が、多くの送気が必要になる。
答えは(1)


問18 ヘルメット式潜水器に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)ヘルメットの側面窓には、格子が取り付けられて窓ガラスを保護している。
(2)ドレーンコックは、潜水作業者が唾などをヘルメットの外に排出するときに使用する。
(3)潜水服内の空気が下半身に入り込まないようにするため、腰部をベルトで締め付ける。
(4)腰バルブには減圧弁が組み込まれていて、潜水作業者の呼吸量に応じて自動的に送気空気量を調節する。
(5)排気弁は、これを操作して潜水服内の余剰空気を排出したり、潜水作業者の呼気を排出する。

腰バルブの調節は自動で行われるものでは無く、潜水者自身で操作する必要がある。
答えは(4)


問19 平均毎分20Lの呼吸を行う潜水作業者が、水深10mにおいて、内容積12L、空気圧19Mpa(ゲージ圧)の空気ボンベを使用してスクーバ式潜水により潜水業務を行う場合の潜水可能時間に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、空気ボンベの残圧が5Mpa(ゲージ圧力)になったら浮上するものとする。
(1)37分
(2)42分
(3)47分
(4)52分
(5)57分

まずは使用可能なタンク圧力は19Mpa-5Mpa=14Mpaになります。
このMpaをbarに変換します。1Mpa≒10barになりますので、14Mpa≒140barになります。
タンク容量が12Lなのでその中に140倍の空気が詰まっていることになり、140bar×12L=1680Lの空気が使用できます。
毎分20Lの空気を使用しますので、1680Lの空気ですと84分呼吸が出来ることになります。
ただしここで出た84分は、陸上(1気圧)での呼吸が出来る時間になります。
今回は水深10mなので2気圧になり、空気が半分に圧縮されるため使用出来る時間も半分になります。
84分÷2=42分
答えは(2)


問20 スクーバ式潜水に用いられるボンベ、圧力調整器などに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)ボンベには、クロムモリブデン鋼などの鋼合金で製造されたスチールボンベと、アルミ合金で製造されたアルミボンベがある。
(2)残圧計には圧力調整器の第2段減圧部からボンベの高圧空気ホースを通して送られ、ボンベ内の圧力が表示される。
(3)ボンベには、内容積が4~18Lのものがあり、一般に19.6Mpa(ゲージ圧)の空気が充填されている。
(4)ボンベは、耐圧、衝撃、気密などの検査が行われ、最高充填圧力など主なものが刻印されている。
(5)圧力調整器は、始業前にボンベから送気した空気の漏れがないか、呼吸がスムーズに行えるか、などについて点検、確認する。

圧力調整器の名前は、英語ではレギュレーターと言います。
第1段減圧部はファーストステージと言い、タンクに取り付ける部分になります。
第2段減圧部はセカンドステージと言い、咥える部分になります。
第2段減圧部には約7気圧前後の中圧しか来ていない為、タンクの残圧を確認することはできません。
残圧計は、第1段減圧部からホースを通して取り付けられています。
答えは(2)

高気圧障害

問1 肺及び肺換気機能に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)肺は、フイゴのように膨らんだり縮んだりして空気を出し入れしているが、肺自体には運動の能力はない。
(2)肺の表面と胸郭内面は、胸膜で覆われており、両者で囲まれた空間を肺膜腔と言う。
(3)肺呼吸は、肺内に吸い込んだ空気中の酸素を取り入れ、血液中の二酸化炭素を排出するガス交換である。
(4)ガス交換は、肺胞及び呼吸細気管支で覆われているが、そこから口・鼻側ではガス交換は行われない。
(5)潜水作業者の呼吸流量は水深により変化しないが、摂取する酸素の質量は水圧に比例して増えるので、スクーバ式潜水の場合、水深が深いと空気ボンベの残圧は早く減少する。

深度下では呼吸流量は変化しないが、水圧により圧縮された空気を呼吸している為、空気ボンベの残圧は早く減少します。
答えは(5)


問2 人体の循環器系に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)末梢組織から二酸化炭素や老廃物を受けとった血液は、毛細血管から静脈、大静脈を通って心臓に戻る。
(2)心臓に戻った静脈血は、肺動脈を通って肺に送られ、そこでガス交換が行われる。
(3)心臓は左右の心室と心房、すなわち四つの部屋に分かれており、血液は右心室から大動脈を通って体全体に送り出される。
(4)心臓の左右の心房の間が卵円孔開在で通じていると、減圧症を引き起こすおそれがある。
(5)大動脈の根元から出た冠状動脈は、心臓の表面を取り巻き、心筋に酸素と栄養素を供給する。

血液は心臓の左心室から大動脈を通って体全体に送られます。右心室からは肺動脈を通って肺に運ばれます。
答えは(3)


問3 人体の神経系に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)神経系は、身体を環境に順応させたり動かしたりするために、身体の各部の動きや連携の統制をつかさどる。
(2)神経系は、中枢神経と末梢神経系とに代別される。
(3)中枢神経系は、脳と脊髄から成っている。
(4)末梢神経系は、体性神経と自律神経から成っている。
(5)自律神経は、感覚神経と運動神経からなっている。

自律神経は、交感神経と副交感神経から成っています。
答えは(5)


問4 人体に及ぼす水温の作用などに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)体温は、代謝によって生じる産熱と、身体と外部環境の温度差に基づく放熱とのバランスによって保たれる。
(2)一般に水温が20℃以下の水中では、保温のためのウエットスーツやドライスーツの着用が必要となる。
(3)水の比熱は空気に比べてはるかに大きいが、熱伝導率は空気より小さい。
(4)水中で体温が低下すると、震え、意識の混濁や喪失などを起こし、死に至ることもある。
(5)低体温症に陥った物にアルコールを摂取させると、皮膚の血管が拡張し、体表面からの熱損失を増加させるので、絶対に避けなければならない。

水は熱伝導率も空気より大きい。
答えは(3)


問5 潜水によって生じる圧外傷に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)圧外傷は、潜降・浮上いずれのときでも生じ、潜降時のものをスクィーズ、浮上時のものをブロックと呼ぶことがある。
(2)潜降時の圧外傷は、潜降による圧力変化にために体腔の容積が増えることにより、中耳腔や副鼻腔又は面マスクの内部や潜水服と皮膚の間などで生じる。
(3)浮上時の圧外傷は、浮上による圧力変化のために体腔の容積が減少することにより、副鼻腔や肺などで生じる。
(4)潜降時の耳の圧外傷を防ぐために、耳栓をする。
(5)圧外傷は、深さ5m以上の場所での潜水の場合にのみ生じる。

体腔の体積は水圧の影響を受けて変化するため、潜降すると小さくなり、浮上すると大きくなる。
耳の圧外傷は耳栓では防げないだけでなく、鼓膜と耳栓の間の空間の圧平衡ができなくなる為、使用してはならない。
圧外傷は5m以下の浅い場所でも生じます。
答えは(1)


問6 潜水による副鼻腔や耳の障害に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜降の途中で耳が痛くなるのは、外耳道と中耳腔との間に圧力差が生じるためである。
(2)中耳腔は、管によって咽頭と通じているが、この管は通常は閉じている。
(3)耳の障害の症状には、耳の痛み、閉塞感、難聴、めまいなどがある。
(4)前頭洞、上顎洞などの副鼻腔は、管によって鼻腔と通じており、耳抜きによってこの管を開いて圧力調整を行う。
(5)副鼻腔の障害の症状には、額の周り、目、鼻の根部の痛み、鼻出血などがある。

副鼻腔は、鼻腔とは通常開口している。
答えは(4)


問7 潜水業務における二酸化炭素中毒又は酸素中毒に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)二酸化炭素中毒の症状には、頭痛、めまい、体のほてり、呼吸困難などがある。
(2)スクーバ式潜水では、開放回路型潜水器を用いるため、二酸化炭素中毒を起こさないが、ヘルメット式潜水では、ヘルメット内に吐き出した呼気により二酸化炭素濃度が高くなって中毒を起こす。
(3)ヘルメット式潜水においては、二酸化炭素中毒を予防するため、十分な送気を行う。
(4)体内に二酸化炭素が蓄積すると、酸素中毒、減圧症などにかかりやすくなる。
(5)脳酸素中毒の症状には、吐き気、めまい、視野狭窄、痙攣発作などがある。

スクーバ式潜水でも呼吸を遅くしたときなどに、二酸化炭素中毒を起こす危険性がある。
答えは(2)


問8 窒素酔いに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)深い潜水における窒素酔いの予防のためには、呼吸ガスとして、空気の代わりにヘリウムと酸素の混合ガスなどを使用する。
(2)潜水深度が深くなると、呼気中の窒素が酸化するため、窒素酔いが起きる。
(3)飲酒、疲労、大きな作業量、不安などは、窒素酔いを起こしやすくする。
(4)窒素酔いにかかると、気分が愉快になり、総じて楽観的あるいは自信過剰になるが、その症状には個人差もある。
(5)窒素酔いが誘因となって正しい判断ができず、重大きな結果を招くことがある。

窒素分圧が高くなると、麻酔作用が働き窒素酔いになります。
答えは(2)


問9 減圧症に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)減圧症は、通常、浮上後24時間以内に発症するが、飽和潜水では24時間以上経過した後でも発症することがある。
(2)減圧症は、関節の痛みなどを呈する比較的軽症な減圧症と、脳・脊髄や肺が冒される比較的重症な減圧症とに大別されるが、この重症の減圧症を特にベンズという。
(3)チョークスは、血液中に発生した気泡が肺毛細血管を塞栓する重篤な肺減圧症である。
(4)減圧症の罹患には多くの因子が関与するので、規定の浮上速度や浮上停止時間を順守しても減圧症にかかることがある。
(5)減圧症には、潜水後に航空機搭乗や高所移動などによって低圧にばく露されたときに発症することがある。

運動器系、皮膚型の減圧症をベンズと呼びます。
答えは(2)


問10 一次救命処置に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)気道を確保するためには、仰向けにした傷病者のそばにしゃがみ、後頭部を軽く上げ、顎を下方に押さえる。
(2)呼吸を確認して普段どおりの息(正常な呼吸)が無い場合や約10秒間観察しても判断できない場合は、心肺停止とみなし、心肺蘇生を開始する。
(3)胸骨圧迫と人工呼吸を行う場合は、胸骨圧迫10回に人工呼吸1回を繰り返す。
(4)胸骨圧迫は、胸が少なくとも5cm沈む強さで胸骨の下半分を圧迫し、1分間に少なくとも60回のテンポで行う。
(5)AED(自動体外式除細動器)を用いて救命処置を行う場合には、人工呼吸や胸骨圧迫は、一切行う必要が無い。

仰向けでの気道の確保は、頭部を下方に下げ、顎を軽く上げる姿勢で行う。
胸骨圧迫30に対し人工呼吸2で行います。
胸骨圧迫のテンポは少なくても1分間に100回です。
AEDを使用するときも、状況によって人工呼吸や胸骨圧迫を行う。
答えは(2)

関係法令

問11 ヘルメット式潜水による潜水作業者に空気圧縮機を用いて送気し、最高深度40mまで潜降させる場合に、最小限必要な予備空気槽の内容積V(L)は、法令上、次のうちどれか。
ただし、イ又はロのうち適切な式を用いて算定すること。
なお、Dは最高の潜水深度(m)であり、Pは予備空気槽の空気圧力で0.8Mpa(ゲージ圧力)とする。
イ V=40(0.03D+0.4)/P
ロ V=60(0.03D+0.4)/P
(1)92L
(2)112L
(3)120L
(4)156L
(5)189L

ヘルメット式潜水は定量送気式潜水なので、ロの式を利用します。
(圧力調整器を使用した潜水は、イの式を使用します。)
V=60(0.03×40+0.4)/0.8になるので、V=120になります。
答えは(3)


問12 次のAからEの業務について、法令上、その業務に労働者を就かせるときに特別の教育を行わなければならないものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務
B 潜水器を点検する業務
C 再圧室を操作する業務
D 潜水作業者へ送気するための空気圧縮機を運転する業務
E 水深10m未満の場所における潜水業務
(1)A、C
(2)A、E
(3)B、C
(4)B、D
(5)D、E

特別の教育が必要な業務は、「送気の調節を行うバルブ又はコックを操作する業務」と「再圧室を操作する業務」の2つです。
答えは(1)


問13 次の文中の    内に入れるA及びBの数字の組合せとして、法令上正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「潜水作業者に圧力調整器を使用させる場合には、潜水作業者ごとに、その水深の圧力下において毎分 A L以上の送気を行うことができる空気圧縮機を使用し、かつ、送気圧をその水深の圧力に B Mpaを加えた値以上としなければならない。」
   A  B
(1)70  0.7
(2)60  0.8
(3)60  0.6
(4)40  0.7
(5)40  0.8

送気量は、圧力調整器を使用する場合は40L、圧力調整器を使用しない場合は60Lです。
送気圧はその水深で0.7Mpaが必要になります。
答えは(4)


問14 潜水業務において、法令上、特定の設備・器具については一定の期間ごとに1回以上点検しなければならないと定められているが、次の設備・器具と点検期間との組合せのうち、誤っているものはどれか。
(1)送気する空気を清浄するための装置・・・1か月
(2)水中時計・・・・・・・・・・・・・・・3か月
(3)水深計・・・・・・・・・・・・・・・・3か月
(4)送気量を計るための流量計・・・・・・・6か月
(5)ボンベ・・・・・・・・・・・・・・・・6が月

水深計の点検期間は1か月です。
答えは(3)


問15 送気式潜水による潜水業務における連絡員に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)事業者は、連絡員を潜水作業者2人以下ごとに1人配置しなければならない。
(2)連絡員は、潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に従事する者と連絡して、潜水作業者に必要な量の空気を送気させる。
(3)連絡員は、潜水作業者と連絡して、その者の潜降及び浮上を適正に行わせる。
(4)連絡員は、送気設備の故障その他の事故により、潜水作業者に危険又は健康障害の生ずるおそれがあるときは、速やかに潜水作業者に連絡する。
(5)連絡員は、ヘルメット式潜水器を用いて行う潜水業務にあっては、一旦潜降させて、潜水作業者のヘルメットがかぶと台に結合されているかを確認する。

ヘルメットとかぶと台の結合は、潜降直前に確認する。
答えは(5)


問16 潜水作業者の携行物に関する次の文中の    内に入れるA又はBの語句の組合せとして、法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「空気圧縮機により送気して行う潜水業務を行うときは、潜水作業者に、信号索、 A  B 及び鋭利な刃物を携行させなければならない。ただし、潜水作業者と連絡員とが通話装置により通話することができることとしたときは、潜水作業者に信号索、 A 及び B を携行させないことができる。」
 A     B
(1)コンパス  水深計
(2)コンパス  浮力調整具
(3)救命胴衣  浮力調整具
(4)水中時計  水深計
(5)水中時計  救命胴衣

送気式潜水の携行物は、信号索・水中時計・水深計・鋭利な刃物の4つです。
ただし、通話可能な場合は、信号索・鋭利な刃物の2つになります。
自給式潜水の携行物は、水中時計・水深計・鋭利な刃物・救命胴衣又はBCジャケットの4つです。
答えは(4)


問17 潜水業務に常時従事する労働者に対して行う高気圧業務健康診断に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)雇入れの際、潜水業務への配置替えの際及び定期に、一定の項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
(2)定期の健康診断は、潜水業務についた後6か月以内ごとに1回行わなければならない。
(3)水深10m未満の場所で潜水業務に常時従事する労働者についても、健康診断を行わなければならない。
(4)健康診断結果に基づいて、高気圧業務健康診断個人表を作成し、これを3年間保存しなければならない。
(5)定期の健康診断を行ったときは、延滞なく、高気圧業務健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

高気圧業務健康診断個人表は3年間ではなく、5年間保存しなければいけない。
答えは(4)


問18 再圧室に関する次のAからDの記述について、法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。 
A 再圧室の内部に高温となって可燃物の点火源となるおそれのある物等を持ち込むことを禁止し、その旨を再圧室の入口に掲示しておかなければならない。
B 再圧室については、設置時及びその後1か月を超えない期間ごとに、一定の事項について点検しなければならない。
C 再圧室は、出入りに必要な場合を除き、主室と副室との間の扉を閉じ、かつ、副室の圧力は主室の圧力よりも低く保たなければならない。
D 再圧室を使用したときは、1週を越えない期間ごとに、使用した日時並びに加圧及び減圧の状況を記録しなければならない。
(1)A、B
(2)A、C
(3)A、D
(4)B、C
(5)C、D

再圧室の主室と副室は、扉を閉じ、圧力を等しくしておく。
再圧室の使用状況は、その都度記録し5年間保存しなければならない。
答えは(1)


問19 潜水士免許に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)満18歳に満たない者は、免許を受けとることができない。
(2)潜水業務に現に就いている者が、免許証を減失したときは、所轄労働基準監督署長から免許証の再交付を受けなければならない。
(3)免許証を他人に譲渡したり貸与したときは、免許を取り消されることがある。
(4)重大な過失により、潜水業務について重大な事故を発生させたときは、免許を取り消されることがある。
(5)潜水業務に就こうとする者が、氏名を変更したときは、免許証の書替えを受けなければならない。

再交付は、都道府県労働局長から受けます。
答えは(2)


問20 次の設備・器具のうち、法令上、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないものはどれか。
(1)潜水業務に用いる空気清浄装置
(2)潜水業務に用いる流量計
(3)潜水業務に用いる送気管
(4)潜水器
(5)潜水服

法令上、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないものは、「潜水器」と「再圧室」の2つです。
答えは(4)