問1 浮力に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)水中にある物体が、水から受ける上向きの力を浮力と言う。
(2)水中に物体があり、この物体の質量が、この物体と同体積の水の質量と同じ場合は、中性浮力の状態となる。
(3)海水は淡水よりも密度が僅かに大きいので、作用する浮力の僅かに大きい。
(4)圧縮性のない物体は水深によって浮力は変化しないが、圧縮性のある物体は水深が深くなるほど浮力は小さくなる。
(5)同じ体積の物体であっても、重心の低い形の物体は、重心の高い形の物体よりも浮力が大きい。
浮力は物体の体積(大きさ)によって決まるため、形や重心は影響しません。
答えは(5)
問2 体積が10Lになったら破損するビニール製の風船がある。この風船に深さ15mの水中において空気ボンベにより5Lの体積になるまで空気を注入して浮上させたとき、この風船はどうなるか。
(1)水面まで浮上しても破損しない。
(2)水深2.5mにおいて破損する。
(3)水深5mにおいて破損する。
(4)水深7.5mにおいて破損する。
(5)水深10mにおいて破損する。
絶対圧と体積は反比例する性質があります。
水深0mは1気圧、10mは2気圧、20mは3気圧・・・のように絶対圧が掛ります。
(水深0mでも1気圧の大気圧が掛っています。)
水深15mの絶対圧は2.5気圧になるため、水面まで浮上させると気体の体積は2.5倍になり12.5Lになります。
(5L×2.5=12.5L)
この問題では10Lで破損する風船のため、12.5L(水面の体積)÷10L(破損する体積)=1.25気圧になり、
1.25気圧の水深は2.5mになります。
答えは(2)
問3 気体の性質に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)ヘリウムは、密度が極めて小さく、他の元素と化合しやすい気体で、呼吸抵抗は少ない。
(2)窒素は、化学的に安定した不活性の気体であり、高圧下でも麻酔性などの問題は生じない。
(3)二酸化炭素は、空気中に0.3%~0.4%程度の割合で含まれている無色、無臭の気体で、人の呼吸の維持に微量は必要なものである。
(4)酸素は、無色、無臭の気体で、生命維持に必要不可欠なものであり、空気中の酸素濃度が高ければ高いほど人体にはよい。
(5)一酸化炭素は、無色、無臭の気体で、呼吸によって体内に入ると、血液中のヘモグロビンが酸素を運びにくくなるので有毒である。
ヘリウムは他の元素と化合しにくい安定した気体です。
窒素には高圧下で麻酔作用があります。
二酸化炭素の空気中の濃度は0.03%前後です。
酸素濃度が高いと酸素中毒の危険性があるため、高ければ体に良い訳ではありません。
答えは(5)
問4 気体の液体への溶解に関する次の文中の 内に入れるA及びBの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、その気体のその液体に対する溶解度は小さく、また、その気体はその液体と反応する気体ではないものとする。
「・濃度が一定のとき、一定量の液体に溶解する気体の質量は、その気体の圧力に A 。
・温度が一定のとき、一定量の液体に溶解する気体の体積は、その気体の圧力に B 。」
A B
(1)かかわらず一定である 比例する
(2)反比例する 比例する
(3)反比例する かかわらず一定である
(4)正比例する 反比例する
(5)比例する かかわらず一定である
圧力が高くなれば多くの気体が溶け込むが、これは質量(重さ)に対して比例します。
圧力が高くなればその分気体の体積(大きさ)は圧縮され小さくなるので、溶け込む体積は一定のままになります。
答えは(5)
問5 水中における光や音に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)水中では、物が青のフィルターを通したときのように見えるが、これは青い色が水に吸収されやすいからである。
(2)濁った水中では、白色、黄色及び蛍光性のオレンジ色が視認しやすい。
(3)光は、水と空気の境界では下図のように屈折する。
(4)澄んだ水中で顔マスクを通して近距離にある物を見た場合、物体の位置は実際より遠く見える。
(5)水中では、音は空気中に比べ約3倍の速度で伝わり、また、電播距離が長いので両耳効果が高められる。
水中では青い光は水に吸収されにくいため、青い光が多く届きその他の色が見づらくなります。
屈折する方向が逆です。(より大きい角度に屈折します。)
水中でマスク越しに物を見ると、近く大きく見えます。
音の速度が速くなり、左右の耳に届く時間差が短くなるので、両耳効果は低くなる。(どの方向から音がしているか分かりにくくなります。)
答えは(2)
問6 潜水の種類、方式に関し、次のうち正しいものはどれか。
(1)フーカー式潜水は、送気式潜水の一種で、レギュレーターを介して送気する定量送気式である。
(2)ヘルメット式潜水は、金属製のヘルメットとゴム製の潜水服により構成された潜水器を使用し、操作は比較的簡単で複雑な浮力調整の必要がない。
(3)ヘルメット式潜水は、需要送気式の潜水で、一般に船上のコンプレッサーによって送気し、比較的長時間の水中作業が可能である。
(4)自給気式潜水は、一般に閉鎖回路型スクーバ式潜水器を使用し、潜水作業者の行動を制限する送気ホース等が無いので作業の自由度が高い。
(5)全面マスク式潜水は、応需送気式の潜水で、顔面全体を覆うマスクにデマンド式レギュレーターが取り付けられた潜水器を使用し、水中電話の試用が可能である。
フーカー式潜水は定量送気式ではありません。
(定量送気式は空気が常に出続ける構造のもの。応需送気式は吸った時のみ空気が出る構造のもの。)
ヘルメット式潜水は潜水服の中に沢山の空気が入るため、浮力の調整が難しくなる。
ヘルメット式潜水は定量送気式の潜水です。
自給気式潜水は、開放型が一般的です。
(閉鎖回路型は、吐いた空気がシステムに戻り水中に泡が出ない潜水です。開放型は吐いた空気が水中に放出されるシステムです。)
答えは(5)
問7 潜水業務における危険性又はその防止対策に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)コンクリートブロック、漁礁等を取り扱う水中作業においては、潜水作業者が動揺するブロック等に挟まれたり、送気ホースがブロックの下敷きになり、送気が途絶することがある。
(2)水中でのアーク溶接作業では、身体の一部が溶接棒と溶接母材に同時に接触すると、感電により苦痛を伴うショックを受けることがある。
(3)水中でのガス溶断作業では、作業時に発生したガスが滞留してガス爆発を起こし、鼓膜を破損することがある。
(4)送気式潜水による作業では、送気ホースが潜水作業船のスクリューに接触したり、巻き込まれることのないようにクラッチ固定装置の設置やスクリューカバーの取付けを行う。
(5)潜水作業中、海上衝突を予防するため、潜水作業船に下図に示す様式の国際信号書A旗板を掲示する。
旗の色は赤ではなく青です。
答えは(5)
問8 潜水墜落又は吹き上げに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜水墜落は、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より低くなったときに起こる。
(2)潜水墜落では、ひとたび浮力が減少して沈降が始まると、水圧が増して浮力がさらに減少するという悪循環を繰り返す。
(3)ヘルメット式潜水では、潜水作業者に常に大量の空気が送気されており、排気弁の操作を誤ると吹き上げを起こすことがある。
(4)流れの早い場所でのヘルメット式潜水においては、送気ホースや信号索をたるませず、まっすぐに張るようにして潜水すると吹き上げになりにくい。
(5)吹き上げ時の対応を誤ると、逆に潜水転落を起こすことがある。
送気ホースや潜降策は適度に弛ませて使用します。
答えは(4)
問9 水中拘束又は溺れに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)送気式潜水では、水中拘束を予防するため、障害物を通過するときは、周囲を回ったり、下をくぐり抜けたりせずに、その上を越えていくようにする。
(2)スクーバ式潜水では、些細なトラブルからパニック状態に陥り、正常な判断ができなくなり、咥えている潜水器をはずしてしまって溺れることがある。
(3)送気式潜水では、水中拘束又は溺れを予防するため、潜水作業船にクラッチ固定装置やスクリュー覆いを取り付ける。
(4)気管支や肺にまで水が入ってしまい窒息状態になって溺れる場合だけでなく、水が気管に入っただけで呼吸が止まって溺れる場合がある。
(5)ヘルメット式潜水では、溺れを予防するため、救命胴衣又はBCを必ず着用する。
救命胴衣又はBCを着用するのはスクーバ式潜水です。
答えは(5)
問10 特殊な環境下における潜水に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)暗渠内潜水は、非常に危険であるので、潜水作業者は豊富な潜水経験と高度な潜水技術、精神的な強さが必要とされる。
(2)冷水中では、ウエットスーツよりドライスーツの方が体熱の損失が少ない。
(3)汚染のひどい水域では、スクーバ式潜水が適している。
(4)冷水域での全面マスク式潜水では、呼吸器のデマンドバルブ部分が凍結することがあるので、凍結防止対策が施された潜水器を使用する。
(5)山岳部のダムなど高所域での潜水では、通常の海洋での潜水よりも長い減圧浮上時間が必要となる。
汚染のひどい水域ではウイルスの感染や有害物質を避けるため、ヘルメット式や面マスク式が好ましい。
答えは(3)