問1 大気圧下で10Lの空気を注入したゴム風船がある。このゴム風船を深さ15mの水中に沈めたとき、ゴム風船の体積を10Lに維持するために、大気圧下でさらに注入しなければならない空気の体積として正しいものはどれか。
ただし、ゴム風船のゴムによる圧力は考えないものとする。
(1) 5L
(2)10L
(3)15L
(4)20L
(5)25L
水中に空気(気体)を沈めて行くと、水圧によって圧縮され体積が小さくなっていきます。
陸上は大気の圧力によって1気圧が掛っていますが、10m沈めると水圧が1気圧掛り合計で2気圧になります。2気圧掛ると体積は2分1に圧縮され半分になります。
15m沈めると、大気圧の1気圧+水圧の1.5気圧が掛り、合計で2.5気圧になります。2.5気圧が掛ると体積は2.5分の1になりますので、10Lの空気は4Lに圧縮されます。
逆に水深15mで10L必要な場合には、陸上で2.5倍の空気が必要になりますので、10L×2.5=25Lが必要になります。
もともと10L入っているので、さらに注入する量は15Lになります。
答えは(3)
問2 圧力の単位に関する次の文中の 内に入れる A 及び B の数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「圧力200kg/cm2をSI単位に換算すると概ね A MPaとなり、また、この値を気圧単位に換算すると概ね B atmとなる。」
A B
(1) 2 2
(2) 2 20
(3) 20 20
(4) 20 200
(5)200 200
圧力の単位と数値の換算になります。この問題に理屈はありません。
おおよそ 10kg/cm2=1MPa=10atmになる事を覚えましょう。
答えは(4)
問3 体積50㎝3 で質量が400gのおもりを下図のよう3にばね秤に糸でつるし、水につけたとき、ばね秤はばかり何gを示すか。
(1)300g
(2)325g
(3)350g
(4)375g
(5)400g
水に入れると体積分の浮力が発生しますので、おもりの重量は軽くなります。
水野場合は1000㎝3=1?=1㎏=1000gの浮力が発生しますので、50㎝3の場合は50gの浮力が発生します。
もともとの質量が400gで50gの浮力が発生するので350gになります。
答えは(3)
問4 2atm(ゲージ圧力)の空気に接している20℃の水1Lに溶解する窒素は何gか。ただし、空気中に含まれる窒素の割合は80%とし、1atm(絶対圧力)の窒素100%の気体に接している20℃の水1Lには0.020gの窒素が溶解するものとする。
(1)0.032g
(2)0.048g
(3)0.050g
(4)0.060g
(5)0.075g
圧力atmが2倍になると、溶け込む気体の量も2倍になります。
窒素の割合が変化すると、溶け込む量も正比例します。
この問題はひっかけ問題で、圧力とともに溶け込む気体の量が比例するのは絶対圧力に対してです。
2atm(ゲージ圧力)は絶対圧では大気圧をプラスして3atm(絶対圧力)になります。
そのため、0.020gの3倍の気体が溶け込み、0.060gの気体が溶け込みます。
その80%が窒素になりますので、0.060g×0.8=0.048gの窒素が溶け込みます。
答えは(2)
問5 水中における光や音に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)水中では、音に対する両耳効果が減少し、音源の方向探知が困難になる。
(2)水は空気に比べ密度が大きいので、水中では音は長い距離を伝播することができない。
(3)水分子による光の吸収の度合いは、光の波長によって異なり、波長の長い赤色は、波長の短い青色より吸収されやすい。
(4)濁った水中では、蛍光性のオレンジ色、白色や黄色が視認しやすい。
(5)澄んだ水中でマスクを通して近距離にある物を見る場合、実際の位置より近く、また大きく見る。
水中では音は速く伝わるため左右の耳に届く時間差が短くなり、音源の方向は分からなくなります。
密度が高い物ほど音を早く遠くまで伝えるため、水中の方が長い距離を伝播する事になります。
波長の長い赤は早く水に吸収され、波長が短い青は吸収されにくい性質を持っています。そのため深い海の中は青一色の世界になります。海や空が青いのも同じ理由からです。
光の屈折により水中では物が大きく近く見えます。
答えは(2)
問6 潜水の種類及び特徴に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)硬式潜水は、潜水作業者が潜水深度に応じた水圧を直接受けて潜水する方法であり、送気方法により送気式と自給気式に分類される。
(2)送気式潜水は、一般に船上のコンプレッサーによって送気を行う潜水で、比較的長時間の水中作業が可能である。
(3)自給気式潜水で一般的に使用されている潜水器は、開放回路型スクーバ式潜水器である。
(4)フーカー式潜水は、応需送気式の潜水で、デマンド式レギュレーターとして、通常、スクーバ式潜水用のセカンドステージレギュレーターが利用される。
(5)全面マスク式潜水は、応需送気式の潜水で、顔面全体を覆うマスクにデマンド式レギュレーターが取り付けられた潜水器を使用し、水中電話の使用が可能となっている。
硬式潜水とは作業者は水圧の影響を受けない潜水方式です。硬式(固いロボットのような全身を多く容器)に入って行う潜水です。軟式潜水は水圧の影響を受けます。
答えは(1)
問7 潜水業務の危険性に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)海中の生物による危険には、みずたこ、うつぼ等によるかみ傷、ふじつぼ等による切り傷のほか、いもがい類やがんがぜ等による刺し傷がある。
(2)鋼矢板壁等の水中溶接や溶断作業では、周囲の状況によってはガス爆発の危険がある。
(3)海水中の溶接作業では、海水の電気伝導度が高いので人体への感電を生じることはない。
(4)漁獲物を身体に付けたままの状態でいると、サメの攻撃を受ける危険がある。
(5)潜水作業中、海上衝突を予防するため、潜水作業船に下図に示す国際信号書A旗を掲揚する。
水中溶接作業で、身体の一部が溶接棒などの先端部と溶接母材の両方に同時に接触すると苦痛を伴うショックを受ける。生命にかかわる事は無いが感電の注意が必要。
答えは(3)
問8 潜水墜落又は吹き上げに関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)潜水墜落は、潜水服内部の圧力と水圧の平衡が崩れ、内部の圧力が水圧より低くなったときに起こる。
(2)潜水墜落では、ひとたび浮力が減少して沈降が始まると、水圧が増して浮力が更に減少するという悪循環を繰り返す。
(3)ヘルメット式潜水では、潜水作業者に常に大量の空気が送気されており、排気弁の操作を誤ると吹き上げを起こすことがある。
(4)スクーバ式潜水では、潜水服としてウェットスーツ又はドライスーツを使用し、送気式でないので、いずれの場合も吹き上げの危険性はない。
(5)吹き上げ時の対応を誤ると、逆に潜水墜落を起こすことがある。
潜水転落と吹き上げは、浮力の調整が崩れたときに起こります。スクーバ式潜水(タンクを使用)でもドライスーツやBC内の空気が浮上により膨張するため吹き上げの危険性がある。
答えは(4)
問9 水中拘束又は溺れの予防に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)送気式潜水では、潜水作業船にクラッチ固定装置やスクリュー覆いを取り付ける。
(2)送気式潜水では、障害物を通過するときは、周囲を回ったり、下をくぐり抜けたりせずに、その上を越えていくようにする。
(3)沈船や洞窟などの狭いところに入る場合には、ガイドロープを使わないようにする。
(4)スクーバ式潜水では、救命胴衣又はBCを着用する。
(5)スクーバ式潜水では、潜水者2人1組で作業を行う。
沈船や洞窟などに入る時は、ガイドロープを使用し3人1組で作業をしましょう。
ガイドロープは暗い所や入り組んだ所でも帰り道が解るように持っていくロープです。
答えは(3)
問10 特殊な環境下における潜水に関し、次のうち誤っているものはどれか。
(1)暗渠内潜水は、非常に危険であるので、潜水作業者は豊富な潜水経験と高度な潜水技術、精神的な強さが必要とされる。
(2)冷水中では、ウェットスーツよりドライスーツの方が体熱の損失が少ない。
(3)河川での潜水では、流れの速さに特に注意する必要があり、命綱(ライフライン)を使用したり、装着するウエイト重量を増やす。
(4)寒冷地での潜水では、送気ホースが凍結したり、呼吸器のデマンドバルブ部分が凍結することがあるので、水温のほか気温の低下にも注意する必要がある。
(5)山岳部のダムなど高所域での潜水では、海面に比べて環境圧が低いので、通常の海洋での潜水よりも減圧浮上時間は短くできる。
気圧が高い深度下から、気圧が低い場所に移動する事が減圧症の原因になります。この差が大きければ大きいほど減圧症のリスクが高くなり、リスクを減らすために減圧浮上時間を取っています。減圧浮上時間とは、浮上を停止して体内の過剰窒素を体から抜くための時間です。
そのため、高所域での潜水は減圧浮上時間を長くする必要があります。(高所域は気圧が低いため)
答えは(5)